私たちが考える共感とは

 共感とは、単なる情報のやり取りではありません。
 それは高度なコミュニケーションのスキルであり、人が安心して生き、幸せを感じるために欠かすことのできない重要な力です。

 コミュニケーションには「深さ」があります。
 よくコミュニケーションはダイビングに例えられます。浅いところしか潜ったことがない人は、そこで見える景色がすべてだと思いがちです。しかし実際には、さらに深く潜ることで、まったく異なる世界が広がっています。深くなればなるほど、見えるもの、感じられるものは変わっていきます。

 関係性が浅い次元では、不安や恐怖を背景に、対立や取引としてのコミュニケーションが前面に現れます。そこでは言葉は道具となり、誤解や緊張、痛みを生みやすく、人間関係は波立つ荒々しいものになりがちです。

 しかし、人と人との関係性は、それだけではありません。
 関係性が深まるにつれて、次第に静けさが戻り、より精妙でおだやかで、生命感に満ちた在り方が現れてきます。そこでは、恐怖や不安、渇望の奥に隠れていた元気や勇気、そして「いま、ここ」のリアリティーへの気づきが少しずつ深まり、「いまここ」で生きているという確かな実感が立ち上がってきます。
 私どもは、これこそが関係性の真相であると考えています。

 共感とは、そのような関係性の深みに触れ、ともにそこに在る力です。
 共感が生まれる場は、あたたかく、やさしく、そして力強いものとなります。そこに身を置くだけで人は癒され、自然と元気を取り戻していくことができます。

 共感の場において、コミュニケーションはもはや情報伝達の手段ではありません。コミュニケーションそのものが喜びとなり、安心や楽しさをもたらし、人が本来の自分らしさを取り戻す営みへと変わっていきます。

 もちろん、共感のスキルは容易ではありません。私たちは誰もが恐怖や不安を抱えており、それらから生まれる自己防衛や我を超えていく必要があるからです。しかし、それは決して特別な人だけに可能なものではありません。体験を通した学びによって、人は少しずつ、関係性の深みや、人とつながることの本質に気づいていくことができます。

 私どもは、体験学習を基盤としながら、高度なコミュニケーションのスキルである「共感」を育むことを大切にしています。それは、人と関わる力を育てるだけでなく、自分自身を信頼し、より深い次元で生きていく力を養う学びだと考えています。